『ホワイトカオス・ブックアドベンチャー』を
会話型ロールプレイングゲームとして遊ぼう!

text:安藤 昌季

1.それってどんなゲームなの?

 ロールプレイングゲームとは「(特定人物の)役割を演じるゲーム」という意味です。

 「ロールプレイング」という用語自体は、一般的にも新入社員研修などで使われています。
 この場合は「お客さま役」と「対応する社員役」などに分かれて、接客訓練することを表します。これを「仮想の世界の、架空の人物で冒険する」という内容に置き換えるだけで、TRPGも基本的には同じです。
 ただ、冒険する場合は「敵と戦う」「建物の屋根と屋根を飛び越える」といった「できるかどうかわからないこと」の是非を判定しなくてはならないので、これらの基準となる「ゲームルール」が必要となるわけです。
 この『ホワイトカオス』もそうしたゲームルールの一つなのです。

 TRPGはゲームの参加者が実際にテーブルを囲み、会話をしながらゲームを進めます。戦闘をはじめとするゲームの判定にはサイコロを使いますから、ゲーム機やパソコンなどは使いません(注1)。
 そしてTRPGは1人の「ゲームマスター(以下GM。DM、レフリーなど呼び名が違うゲームもあります)」と、2〜5人程度の「プレイヤー」にわかれて、ゲームを進行させます。

 GMはゲームを始める前に、これから遊ぶRPGのゲームシナリオを準備する必要があります。これは、ゲームギャザ誌に掲載されている「ブックアドベンチャー」のシナリオを流用することもできますし、自作することもできます。自作する場合の資料としては、このホームページに掲載されている「シナリオフック」 「世界設定」を参考にできます。

 TRPGは、用意されたゲームシナリオに沿って、ゲームを進行します。GMはシナリオの進行役です。そしてプレイヤーはそのシナリオに登場する、主役級の登場人物――“プレイヤーキャラクター(以下PC)”を担当します。
 演劇の練習風景に似ていますが、大きな違いは「プレイヤーは自分が担当する人物(PC)の配役は知っているが、台本を持っていないので、シナリオ内容は知らない」ということです。

 ですからTRPGには「GMが説明するシナリオの状況説明を聞き、自分のPCに取らせる行動をあれこれ考える」という楽しさがあります。プレイヤーは基本的には1人ではありませんから、「今言われた依頼だけど、胡散臭いよ〜。どうしよう!?」「それはこうしたらいいんじゃないかな」というように、ワイワイ話しながら、自分たちだけの物語が作られていくのです。
 例えば、連載第1話をTRPGとして遊んだときは、以下のようになりました。

 GM「これから起こる出来事は6年前の夏。君たちのPCがまだ小学生だったころの話だ。君たちは、それぞれの家の近くにある浜辺に面した行き付けの喫茶店『ギャレー』で、クラスの友人たちとジュースを飲み、お菓子を食べている」

 プレイヤー1「小学生だけで、ですか?」

 GM「うん。君たちの親はPTAのつながりで、よくこの店に来ていたんだ。だから、お店のマスターとは顔馴染みなのさ。店内は広く、テーブルも大きいから、みんなで夏休みの宿題をしたりするのに適している、というのもある」

 プレイヤー2「なるほど。じゃあ、オレは劣等生ということにしよう。宿題がわからないので、こいつの(他のPCを演じるプレイヤー)宿題を丸写ししている(笑)」

 プレイヤー1「で、先生にバレて怒られる、と(笑)」

 GM「そうそう。ちなみに喫茶店に来ているクラスメイトだけど、二人いるよ。1人は医者の息子だ、線の細い優等生。名前は橘 幹人(たちばな・みきと)」

 プレイヤー2「彼はヤなやつなんですか?」

 GM「そんなことはないよ。本ばかり読んでいて取っつきは悪いけど、思いやりが深い性格の子だね。ちなみに、君がサッカーをやっていて、転んで怪我した時に、すぐに駆け寄って応急処置をしてくれたことがある」

 プレイヤー2「それは俺の中で『心の友』に決定ですね(笑) じゃあ、幹人に『いつも勉強教えてもらってすまねぇな。俺、頭よくないから、すぐ忘れちゃってよ』と声をかけよう」

 GM「じゃあ幹人は『君は頭いいと思うけど……。サッカーのルールとか、戦術とかは丸暗記しているじゃないか』と微笑むよ」

 プレイヤー1「かわいい〜。もう1人のクラスメイトはどんな子なの?」

 GM「髪が長い、おっとりとした雰囲気の女の子だね。名前は朝霞 桜(あさか・さくら)。『いいとこのお嬢さん』そのまんまみたいな感じだと思って。彼女は……」

 こんな感じで、ゲームが進行していくわけです。
 ちなみにGMが用意したゲームシナリオには「PCたちは小学生時代の幹人、桜と喫茶店で夏休みの宿題の話をしている。頃合いを見て、幹人が『みんなで海に行こう』と切り出す」としか書いていません(注2)。
 プレイヤー2さんが「自分のPCは劣等生だった」と切り出したので、GMが(じゃあスポーツ少年ということにしようか)と考えて「サッカーをやっているよ」という話を思いつき、上記のような展開となったわけです。
 つまりプレイヤー2さんが、このようなこと言わなければ、「なかった設定」ということです。

 このように「ゲーム参加者の行動によって、結果がどう変わっていくかわからない。予定したシナリオに、PCの行動が反映されていくため、ときにはシナリオで予想していなかった物語が作られていく」ところが、TRPGならではの特徴であり、また醍醐味なのです注3)。

2.ゲームルールとは?

 TRPGは「GMが用意したシナリオ説明に、プレイヤーがPCのリアクションを起こさせること」で進んでいきます。
 しかし、すべての行動がPCの思い通りになるのだとしたら、それは“ゲーム”になりませんし、緊張感もなくなります。そうした判断基準を手助けするツールが「ゲームルール」です。自分のPCにはどんな特徴があるのか、どれだけ強いのか、ゲームルールを使うことで表すことができます。

 具体的には「失敗するかもしれない行動」を試みるさいに、《行為判定》を行うことができます。《行為判定》の結果はサイコロを振り、その乱数を加味することで示されますから、「その行動が成功するかどうか」はGMにもプレイヤーにもわかりません。「負けてはいけない」ところで負けてしまうかもしれないわけです。

 大体、おわかり頂けたでしょうか? なお、遊ばれる前に一つだけ。ゲームルールはあくまで「目安」を示すためのツールでしかありません。GMは「判定の必要もなくできる」と思われることを、いちいち判定させる必要はありませんし、逆に「判定しても絶対に成功しない」と思われることは、試みさせなくても構いません(注4)。

 GMはTRPGを進行させるジャッジ役ですから、「何ができるのか」判断を下すのはGMの役目となります。GMをする誰もがルールを暗記しているわけではありませんし、中にはゲームルールで判定できないような、特殊な行為もあるかもしれません。このようなときに、例えGMが言ったことがゲームルールと矛盾していても、そのゲームセッション内ではGMの判断を優先させてください(注5)。これは、ジャッジの一貫性を守るために必要なことです。

 それでは、皆様が楽しいTRPGライフをおくられるよう、願っております。


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