◆『ホワイトカオス』リプレイ 〜太平洋の女王〜 その3

GM・文:安藤 昌季

その2<<<

14.ルーディ/豪華客船上

GM:君たちを乗せた豪華客船『エンデュミオン号』は、すでにハワイを出航し、丸一日が経過している。船は28ノット(時速約50km)という高速で、日本へ向けて大海原を走る。排水量6万トンの巨大な船だけあって、ほとんど揺れを感じさせない。周囲はなにもない海の上、船の喫水線を見下ろさない限りは、動いているということすらも想像しにくい。

ルーディ:僕は《九曜家》の仕事を受けるとは聞いたけど……まさかその《九曜家》の人間が船に来てる、とは知らないんだよね。しかも、知り合いだとかも。

GM:うん。豪華客船の中では、基本的に飲み食いはサービスになっている。また、常になにかしらのイベントが用意されている。ダンスパーティや、映画鑑賞会、コンサート、などなど。船旅を飽きさせない、贅沢な空間になっている。

ルーディ:夢のような空間だねぇ。風呂もつかえるし、金曜日がカレーじゃないし。

GM:ルーディに[アンカー]。(那須同意。[経験点]+1)

ルーディ:もらっていいんかっ!?(笑)

GM:ルーディは、食事を終え、午後から始まる『オークション』の会場へ向かっているところだ。

ルーディ:なにか掘り出し物があるかな〜。とはいえ、出展物のカタログがあらかじめ配布されてるンだろうけどね。オークション前に出展物をみんなに見せる会場もあるでしょ?

GM:ある。いろんなものが並んでいる。アジアに向かう航路だということで、北宋の壷とか、山水画、日本にちなんだものが多くそろえられている。基本的に、あまりギラギラと見ている人は少なく、『値札のついてる美術館』みたいな空気が流れている。

ルーディ:じゃぁ、見て周りながら美術商として、手に入れたほうがいいものがあるか探すね。

GM:了解。そうしていると、会場に、黒服のSPを幾人か連れた人物が入ってくる。日本国の総理大臣、門脇氏だ。
 ルーディを見ると、声をかけてくる。「失礼ですが、ルーディ・トミノさんでは? ……ああ、『とんでも鑑定団』にこないだゲスト出演されていたでしょう?」

ルーディ:じゃぁ、近くのウエイターからシャンパンを二つとって、総理に渡す。「はじめまして、プライムミニスター。お目にかかれて光栄です。憶えていてくださってありがとうございます」と、答えるね。

門脇総理(GM):英語で、「これは丁寧にありがとう。……日本語でもよろしいかな?」

ルーディ:「ええ、大丈夫です。テレビ、ごらんになったんでしょう?」と笑う。

門脇総理(GM):「首脳会談が終わって、日本に帰るまでのいい休暇だよ。向こうに戻れば、また忙しくなるから、ま、命の洗濯といったところだね」

ルーディ:「なるほど。休暇となれば、丁度いいですね。この船はディズニーランドを畳んで三つ重ねたみたいなものですからね」

那須:そりゃいい表現だ。[アンカー]。(真桜・GM同意。[経験点]+1)

門脇総理(GM):「僕は乗り物が好きでね。いろいろ乗ってみたいんだが、国内でヘタに言ってしまうと、いろんな人が来てしまうからねぇ」。新幹線〜だとか、高速道路〜だとか、ね。

ルーディ:咳払いをします「えへんえへん!」

門脇総理(GM):「この船なら、日米友好のため、ってことでハナシになるだろう? ……これはオフレコね」

ルーディ:「立派な政治家としてのセリフだと思いますし、僕はそういうやり方は嫌いじゃないです」

GM:[アンカー]あげるよ。

真桜:GMにも[ベクトルカード]あげるー。

門脇総理(GM):「で、ま、色々と見て回ってるわけさ」と、会場を見回して、ある一角に目を留める。「あのオルゴールなんか、何か惹かれるものがあるねぇ」

ルーディ:あー、プレイヤーはイヤな予感がします。
 「あー、どれどれ?」とカタログをめくって由来などを確認します。

門脇総理(GM):第1次世界大戦のときに、アメリカ海軍の提督が持っていた時計。その後、いろんな人の手を渡ってきた、らしい。「なにやら面白いことも書いてあるねぇ。『セイレーンの歌声が聞こえる』とかなんとか」

ルーディ:気味悪がって手放したり、ある日持ち主が消えてしまったり、……かねぇ。

門脇総理(GM):「このエピソードが面白いねぇ。『バミューダトライアングルで難破した船から流れ着いた』のを拾った持ち主もいたみたいだねぇ。僕はこんな由来のものを持って帰ろうとは思わないねぇ」

ルーディ:「堅実なお考えです」

門脇総理(GM):ニコニコしながら、「オカルトを信じているわけではないんだけどでねやっぱり、魅入られてヘンなことになっちゃうヒトとかいるの? たまに、番組でも、呪われてそうなものとか、出てくるじゃない」

真桜:なんて気さくな総理大臣なんだっ。

GM:SPが困った顔してるよ。

ルーディ:「たまーに、ですよ。まぁ、本当にマズいモノは、テレビに出ませんけどね」

門脇総理(GM):「ははぁ、なるほどねぇ」

ルーディ:「現実は、フィクションより奇なり、というやつです。下手に深入りしてもいいことはありませんよ」

門脇総理(GM):「なるほどね」、といったところで、傍らの秘書、らしき人が総理を呼ぶ。「すまないが、このあと約束が入っていてね、もう行かなくてはならん」

ルーディ:「いえ。よろしければ、お食事でもご一緒できるといいですね」

門脇総理(GM):「そうだね。また面白い話を聞かせてもらえるといいなぁ。では、いずれまた」
 と、彼はまたSPを引き連れてどこかへ行ってしまった。総理の言うことを別にしても、このオルゴールには、なにかいわくありげな雰囲気がある。詳しく知りたければ、[一般人判定]では無理だねぇ。《アクセス》使わないと。

ルーディ:じゃぁ《ホワイトアウト》します。

GM:了解。では、一方そのころ、《九曜家》の二人は……

15.那須&真桜/ブティックにて

イラスト:七荻東

GM:さて、君たち《九曜家》組は、総理大臣のSPの人員として乗船し、指令としては『通常のSPが対処できない事件が起こった際に、対応できる位置にいること』というところだ。基本的に、《時渡り/ホワイトアウト》をしてすぐ駆けつければだいたい対応できるので、船内は自由だと考えてもらっていい。表向きは、君たちは『夫婦』ということで通している。
 時間的には、さっきのルーディのシーンよりも前。乗船してすぐぐらい。

那須:じゃぁカタログを見ながら、「船内のイベントって、正装じゃないと入れないものが多いねぇ」と、真桜ちゃんの恰好を見ながら言います。

真桜:いつものパンツスーツを着ているわけです。「このスーツではいけないのですか?」

那須:「女性はドレス、が正装みたいだね。『ドレス着用』と書いていないイベントのほうが、少ないねぇ」

真桜:「普段着馴れているもののほうが、咄嗟の対応に都合いいのではないですか?」

那須:「船内どこにでもいける恰好をしていたほうが、咄嗟の事態が起きたとき、すぐに駆けつけられるだろう?」

真桜:「……。ですが、ドレスなんか持ってきてませんよ」

那須:ニヤリと笑って、「じゃぁ、調達するしか、ないなぁ。ああ、大丈夫。経費で落としておくから、心配しないでいいよ」

真桜:「……………………」がっくり。

GM:というわけで、船内にあるブティックに行くわけですね(笑)

ブティック店員(真桜):「まぁ、とってもお似合いでいらっしゃいますわ」と英語で言われていたり。

ルーディ:変わり身はやっ。

真桜:「ちょっと、動きづらいのですが……。肩も出てますし……」顔真っ赤でもじもじしてます。

那須:壁に寄りかかりながら、店員に、「あっちのほうがよくないかねぇ?」とか言う。英語で。真桜ちゃんに似合うのだけど、困るだろうなぁ、というデザインを選ぶね。

ブティック店員(GM):「あのシックな色づかいもよさそうですわね」と英語で。で、真桜ちゃんを試着室へ連れて行く。

真桜:英語がよくわからないので、「あーさんきゅーさんきゅーおーけーおーけー」とか適当に言いながらなすがままに(笑) 黒のロングドレスとかで、肩丸出しだったりするわけで。

ブティック店員(GM):ヒールは低めを選んだことにしとこうね。走れないからね。
「若くて可愛らしい奥さまですね♪」と那須に英語で。

那須:「いやだなぁ、こんな公の場でそういうこと言わないでくれよ」と笑顔ではぐらかします。英語で。

GM:下手な答え方したら[デザイア]あげようと思ったのに(笑) うまく逃げたね。

ブティック店員(真桜):「わぁ、立派なレディでございますわ」

那須:試着室から出てきた真桜ちゃんに「ヒュ〜♪」と口笛を吹きます。

真桜:ぐぁー!! ●×*+¥#$%!

GM:まあ落ち着け(笑)

真桜:……えーと、失礼しました。では、おずおずと試着室から出てきて「かっ、からかわないでくださぃっ」と。顔真っ赤です。

GM:ああわかった[アンカー]2点やる。(那須ルーディ同意。[経験点]+1)

那須:「いや? 事実を事実として述べたまでだよ? 僕は根が正直でね」

GM:どーしよーもないから[アンカー]やる(ルーディ笑いながら同意。[経験点]+1)。

16.那須&真桜/左舷第2ラウンジ

ルーディ:と、いうわけで、真桜ちゃんは日々、食生活が豪華になっていってるワケだね?

GM:そうだね。コーヒーとかも、缶コーヒーとはなにか別の世界の物体としか思えない。

那須:それどころか、自販機など全然見当たらないし。

真桜:あーなんてこったい。なにかあると飲み物とかがスッとでてくるような状況なのね?

GM:そしてドレスアップした真桜ちゃんは妙にいろんな人に声を掛けられるようになりました(笑)

真桜:うわーん(笑)

GM:品の良さそうな老夫婦が「可愛い娘さんねぇ、一緒に写真取って?」とか。……英語で。

真桜:英語で〜!? 私、全然英語できないですよ!?

那須:少し離れたところから生暖かく見守ってます。

真桜:…………(ジト目で那須を見る)。 仕方ないのでニコニコしながら訳のわからないまま間にはさまれて写真取られたりしてます(笑)

イタリア人男性(GM):そこに真桜ちゃんに近づく白人男性が。「あちらの方はあなたのご主人ですか?」

真桜:「一応、そういうことで」

イタリア人男性(GM):「一応? そうなのですか」と、目を輝かせるよ。

真桜:「いえ、いえいえ。もちろんそのとおりです。でぃす、いず、まい、はずばんど」

GM:[アンカー]2点あげる。(那須ルーディ同意。[経験点]+1)

那須:ではテンパっているところに割り込もう。「それがなにか?」

イタリア人男性(GM):「あまりにも美しいお嬢さんなので、独身であればほって置かなかったところですよ」

那須:「あれ? その程度の気持ちでしたら、あきらめてください」

イタリア人男性(GM):「うらやましい奥さんをお持ちだ。いや、うらやましい」と、あっさり引き下がるね。

GM:と、いっているところで《ホワイトアウト》が起こるよ。

真桜:《同調》しますっ。

那須:《同調》しますね。

GM:では、君たちの周囲が色を失い、白く変わってゆく。先ほど真桜ちゃんに声をかけた老夫婦も、イタリア男性も、石膏像のようになる。《ホワイトアウト》の方向は、おそらくオークション会場。総理も、そちらへ遊びに行く予定になっていたね。

那須:「こっちだよ。多分、“あいつ”だと思うけどね。ほら、珠子さまが見せてくれただろ?」

真桜:「まぁ。あの方も《能力者》なのですか」

那須:不敵に笑って答えます。「ああ。そういうことになるかな」。それから、《パッシブウォール》を張って、《アポート》も使いますね。

真桜:《パッシブウォール》と《アポート》を使いますね。

ルーディ:【能力値】も成長さておいていいんじゃない? 結構[経験点]たまってるし。

那須:そうだね(コロコロサイコロ振って、準備中です)。

GM:じゃぁ大丈夫? 君たちは、白くなった立派な階段を駆け上がり、オークション会場へ向かいます。

17.全員集合/オークション品展示会場

イラスト:板川な奴

GM:開放された入り口から入ると、石膏像の森の真中に、“色がついた”オルゴールと、“色がついている”白いスーツを着た男が立っている。

那須:やっぱりな、という顔をしながら「よっ」と声をかける。

ルーディ:ンでは日本語で。「やぁこれはこれは那須さん、お久しぶりです」と、キザに一礼する。

GM:そのとなりには美しい日本人のお嬢さんがいるよ。

真桜:あわてて、走るときに脱いだ靴を履いてます。

GM:なんてことだ。[アンカー]2点やる(笑) (那須同意。[経験点]+1)

ルーディ:じゃぁ、その女性を見て。那須に言うわ。「そうか。君もやっと身を固める決心がついたのかぁっ!」満面の笑みで。

那須:ジト目で答える。「仕事、の同僚だ」

ルーディ:「……。ああ、式はそのあとか」

GM:[アンカー]3点やる(笑)

真桜:「いえ、そのようなものではございません。私は那須“さま”の配下でございます!」

那須:ため息をつきますね。「“那須さん”だろ?」

真桜:「はっ、申しわけありません! 言い直します。私は那須さんの配下ですっ!」

GM:最初に『恭一さま』とか言っていたら最低だったな(笑)

ルーディ:「なぁ、恭一。……公共の場では、ノーマルな趣味だってことで、装っておいたほうがいいぞ」英語で。

那須:ぽん、と肩を叩いて「でも、癒されるキャラクターだろ?」英語で。

ルーディ:「いや、まぁ、とてもとてもとても君が彼女をからかって楽しんでるのはわかるんだけどね」英語で。

那須:「からかってなくてもこうなんだよ」英語で。

ルーディ:「でもな、やっぱり、どーみてもキミ、高校生連れて歩いてるみたいで、まるで犯罪者やて」英語で。東洋人は、欧米人から幼く見られるからな。

真桜:なに言われてるかわかんないのでオタオタしてますね〜(笑)

ルーディ:盛大にため息をついてから、英語で。「で、恭一。いつもの“ニンジャ”の仕事だね?」

那須:「何度も言っているだろう。そもそも《九曜家》というのは……」と、過去幾度も話しているように、噛んで含めるような説明をする。しかめっ面とかしたら、負けっぽいので。

GM:[アンカー]を3点やるけど、[デザイア]も1点やる(笑) ([経験点]−1)

ルーディ:「で、《九曜家》がどーのはいーけど。このコは誰なんだい? このコも“ニンジャ”なんだろ?」と、まだ英語で。

那須:「馬鹿だなぁ。日本語で、女性のニンジャのことは“クノイチ”って呼ぶんだ」英語で。

ルーディ:「オー! クノイチぃ!」と、米語で。

真桜:英語で話されているので、キョトン、としています。

GM:ニンジャ! とかクノイチ! とか言うのは聞こえる。

ルーディ:ここで、真桜さんに、日本語で。まじめな表情に戻して。「申しわけないね。いま、彼から、日本の言葉では、女性の忍者のことをクノイチと呼ぶ、ってことを教えてもらっていたんだよ」

真桜:怒りでプルプル震えます。「それと、私と、なにか関係が?」

ルーディ:しらじらしく。「いやぁ、久しぶりに会った友人と、世間話をしていたんだよ」で、名刺を取り出して自己紹介する。
「美術商のルーディ・トミノと云います。《Anchors&Ships》の《インストラクター》でもあります。剣さんと那須さんとは、アメリカでお世話になっていました」

真桜:「あ、えーと、わたくしは、篠原と申します」

那須:「一応、オレの部下というかたちになっている、篠原 真桜さんだよ」

ルーディ:「ああ、《備/そなえ》のヒトか」

那須:「オレらの目的は、当然わかっているとは思うけど……」と、後ろをちょっと見る。

GM:《ホワイトアウト》で白く固まっている門脇総理がいるね。

那須:「あちらの御仁を守るためにこの船に乗ったんだ」

ルーディ:「あの御仁、気づいたよ。これがヘンな気配出してるって」

那須:「本当に勘の鋭い人なら、そこまでは気づくだろう」

GM:オルゴールつきの大きめの置時計だね。キラキラ輝いてる。

ルーディ:「一発でバッチリだよ。やー、専門家のキミらが来てくれたから一安心だね。荒事が起こったら全面的に任せるよ♪」

那須:「なにを言っているんだ。“ここであったが百年目”っていうだろ? 冷たいコトいうなよ。親友」

ルーディ:「あまり、言葉に憎悪を込めてしゃべるのはよくないぞぉ?」

那須:「そうだね。お互い、紳士的に、な」

真桜:「えーと、お二人はどのようなご関係なのですか?」

那須:「見たまんま。……わからない? まぁ俗に云う“悪友”ってトコかな。アメリカでは散々振り回してもらったよ」

ルーディ:「尻拭いはいつも僕がしてたんだ」

GM:ルーディに[アンカー]2点。那須にも[アンカー]1点ね(真桜同意。[経験点]+2)。

ルーディ:では、真桜さんに「剣さまはお元気かい?」

真桜:「あ、はい。お元気でいらっしゃいます」

那須:「なぜオレに聞かない?」

ルーディ:「………………」無言であさってを見ている。

真桜:「………………」無言で那須さんを見ている。

ルーディ:「わかるだろう?」

那須:「よぉ〜くわかったよ。君の沈黙で」

GM:……。那須に[アンカー]1点あげる。

18.ルーディ/過去の光景

ルーディ:沈黙のあと、なきそうな声で「で、まぁ、これ(オルゴール)調べてみようか」っつーことで、《アクセス》使います。《ウィスパリングパスト》を使いますね。

GM:[パワーレベル]は? あと、《アクセス》使用に関連した演出するなら[ベクトルカード]あげるよ。

ルーディ:[パワーレベル:MAX]使おう。で、恭一に苦笑いしながら「鑑定士としては、ズルっこだけどな」とウインクします。

GM:[アンカー]3点。[ベクトルカード]もあげる。

ルーディ:あとみんなに提案。[経験点]15点使って、【強度】を5点成長させていい?

真桜:おっけーよ。

那須:どうぞ。

ルーディ:ありがと。これで【強度:10】になった。で、サイコロ振って……(コロコロ)[達成値]は23。

イラスト:チョモラン

GM:じゃぁ、君の頭のなかにたゆたう海がイメージされる。そのうちに船内の光景が見える。装飾物などがなく、可燃物がほとんど見当たらないことから、軍艦の内装だということがわかる。第一次世界大戦以前の将校の服を着た人物が、オルゴールを持ち上げているんだろう。「おまえは素晴らしく美しいな、セイレーン」。
 時間の流れが感じられる。船内とオルゴールは少し古びている。将官の部屋にはだれもおらず、外からは砲声が聞こえる。さっきの将校は、壁にかかった写真になっている。また違うイメージが見える。穏やかな船内。甲板からは軍楽隊の演奏が聞こえる。その演奏、歌声には祖国を守る誇りと、戦う勇気に満ち溢れている。
 やがて再び時間が経ち、船内もオルゴールもすっかり古びてしまっている。水兵が船内の片付けをしている。
「後片付けは終えたか?」「このオルゴールはどうする?」「こんな古びたものは置いていけ。どうせもう動かないんだ」
 その後、船はものすごい光に包まれ、高熱に炙られ、爆風に翻弄される。やがて海の底に沈んでゆき、あとは冷たさと、寂しさしか感じない。

ルーディ:ショーケースに手のひらを当て、涙を流す。「そうか……」一言つぶやいて、目を開けます。

GM:[アンカー]3点あげよう。(那須真桜同意。[経験点]+1)

ルーディ:オルゴールに語りかけます。「でも、あなたはしゃべれるわけじゃぁないんですよねぇ」

GM:そうすると、オルゴールが動きだし、オルゴールから米海軍の軍歌が流れる。メロディーだけ。時間の止まったこの部屋に、オルゴールの音だけが響く。

ルーディ:僕はわかるのね?

GM:うん。真桜はわからないね。那須は、アメリカで聞いたことあるかもしれない。[一般人判定]が必要だけど。

ルーディ:那須は、ハワイに来たことあるなら、ルーディが閲兵式とかに連れてってるでしょ。

GM:そうだね。なら、わかる。

真桜:「何か、鳴り始めました」

那須:「《ホワイトアウト・プレーン》でこの曲を聴けるとは、ね」

ルーディ:「彼女(セイレーン)が歌っているのさ」

GM:ルーディに[アンカー]2点。呼び水の那須に1点ね(真桜同意。[経験点]+2)。

ルーディ:「このコが何を望んでいるのか、にもよるんだけどね。由来ははっきりしないんだけど、一度海の底に沈んだのは確かでね。誰かが、《ホワイトカオス》から引き上げた、可能性はあるんだ」。で、GMに質問。このオルゴール、発見されたときには、この姿だったの? それとも、レストアされてピカピカになったの?

GM:発見されたときからピカピカだったよ。パンフにも書いてある。

ルーディ:おーけー。よくわかった。じゃぁ、《九曜家》のお二人に、いま《アクセス》で見た内容を、パンフレットの情報と軍属時代の知識で補完して、説明する。

GM:了解。

ルーディ:「僕の見た、彼女の最後のイメージは、古くなり動かなくなって、同じく古くて沈められる船に、置き去りにされるところだった」

GM:ボロ時計、とも呼ばれていたね。まったくそんな風には見えないね。それどころか、オルゴールなのに、ゼンマイも巻かずに、鳴り続けている。

ルーディ:「それどころか、この曲が作られたのは、オルゴールが作られた年よりも、後なんだよ」

GM:ルーディに[アンカー]3点やる(那須・真桜同意。[経験点]+1)。

真桜:「え? それって……」

ルーディ:「覚えたんだよ。歌を」

GM:もう一回ルーディに[アンカー]3点(那須・真桜同意。[経験点]+1)。

19.那須/《盟友》凄皇召喚

那須:ここで、僕の《盟友》を実体化させます。「こいつが反応している。これが、オレの式神にあたる物だ。反応してる、ってことは、多分このオルゴールも、近い存在なんじゃないかと思うね」

GM:じゃぁ、《パペットマスター》で判定して、《盟友》の【能力値】合計を決めてね。

那須:了解。(コロコロ……【能力値】振り分け中)終わった。

GM:どんな外見なんだい?

那須:仁王像が直剣持っているような姿。しゃべれる。

GM:了解。では、君の《盟友》凄皇がスッと姿をあらわす。

凄皇(GM):「呼んでおるぞ」

真桜:「!?」

凄皇(GM):「お初にお目にかかる。我は、白き混沌の渦より、那須の恭一殿に導かれし僕(しもべ)。以後お見知り置きを」

真桜:「あ、こちらこそ」

GM:[アンカー]1点。

ルーディ:「むさい男の懐でいつも待機している忠義モノだよ」

那須:そのやりとりに苦笑してます。

凄皇(GM):まわりを見回して「なんとも場違いな処へ来てしまったようだが」

那須:「で、呼んでいるって、なにが?」

凄皇(GM):「呼んでおるぞ、呼んでおるぞ。余程悲しいのであろうな」

ルーディ:オルゴールに話かけるよ。「誰を呼んでいるんだい」

凄皇(GM):オルゴールを指し示すような仕草をする。
「おそらく。このモノには主が居ったのであろう。そして、いま、誰のモノでもないのであろう。主なきモノのココロ、我にはその悲しみのみが伝わってくる。我は主持ち故に。そなたらとて、主持つ身。なれば、主を喪いし心根、理解に及ぼう」

真桜:珠子さまを守れないことを想像して……、首を振ります。

那須:沈痛な表情で黙って聞きます。

凄皇(GM):「主が近くに居るを知れば、精一杯の声で、呼ぶのではないか? おういおういと」

ルーディ:ああ、なるほどね。

20.全員/エンデュミオン号甲板

凄皇(GM):「この大きな大きな海原に、なにか大きな“力”を感じられぬか?」
 というわけで《フェアリーアイズ》の判定をしてくれ。[達成値]が高ければ、近づいてくる力の大きさと、方位、距離、速度が詳細にわかります。

真桜:[パワーレベル:Lv0]で、[達成値:14]。

那須:[パワーレベル:Lv0]で、[達成値:20]。

ルーディ:では、僕は当然のように[パワーレベル:MAX]使います。

GM:見せ場かい?

ルーディ:でしょうねぇ。

GM:なら、カードをあげる。どーせなら凄皇にセリフで応えてくれないか?

ルーディ:凄皇に視線を合わせてこう言います。「僕の仕事はつまるところ、寄る辺ない持ち物の主人を、探すことさ」

GM:文句なしだ。[アンカー:3点]もっていけ(那須真桜同意。[経験点]+1)。

ルーディ:(コロコロ)……[達成値:68点]です

GM:では、[達成値:20]以下の真桜・那須は、途轍も無く巨大な力がこの《ホワイトアウト・プレーン》のどこかに存在していて、その反応が強くなっていくのがわかる。
 ルーディは、これに加えて、もっと具体的な情報を感じられる。この船の進行方向に対して、後方・南からの針路で迫ってくる。距離2万メートル(20km)。速力は21ノット(約40km/h)。ちなみに、君たちの船は《ホワイトアウト》によって時間が止まっていることに注意してくれ。つまり逃げられない。

真桜:甲板に出たほうがいいんでしょうか。

那須:そうだね。2万メートルか。

GM:甲板に出るんだね? オルゴールはもっていくかい?

ルーディ:じゃぁ僕が。

GM:では、オルゴールはメロディーを乱し、戸惑っているような気配が伝わってくる。もっと詳細を感じたいならば《アクセス》を使ってくれ。

ルーディ:んー。じゃぁ《ニューロマンサー》で[達成値:22]。

オルゴール(GM):では、オルゴールが歌っている内容を読み取れる。「主よ、私はここにいます。私がこんなにお呼びしているのに、どうして応えてくれないのですか? あなたの元にいない私は、まるで囚われの身のよう」

ルーディ:あぁ。GM。《アポート》使う。彼女が居た時代の士官服ってわかるよね。

GM:うん。わかるね。出せるかは[達成値]次第だけど。

ルーディ:[達成値:26]。一揃い出せるくらいかな。

GM:そうだね。君は、《ウィスパリングパスト》で見た恰好を再現する。太平洋戦争開戦時に、米海軍太平洋艦隊旗艦を務め、戦後新型兵器の実験によって沈んだ、戦艦『ペンシルバニア』の士官の服装だ。

ルーディ:やさしく時計を持ち上げ、抱える。「さぁ、会いに行ってみようか」

那須:説明プリーズ〜。うちらさっぱりわかってませーん。

ルーディ:すまん(苦笑)。「かくかくしかじか」で説明。甲板へ向かおう。

GM:では甲板に着く。人々が白く凍り、船も真っ白になっている。波も動きを止め、風を感じることはない。並んでたなびく日本と米国の国旗は色を失いそのはためきをとめている。遠くに船影が見えますが、小さすぎて普通では良く見えません。遠視ができそうな《アクセス》はありますか?

真桜:ありませんねぇ。

GM:あなた、《ハンター》持ってるでしょ。“狩人”ってことで使えないこともないんではないかと。

真桜:では使います。[達成値:22]。

GM:前甲板に巨大な3連装砲塔が二つ背負い式に配置されている、大きな白い戦闘艦だ。砲塔をこちらに向け旋回させ、砲身の仰角を上げている。水兵たちが爆風よけの退避壕へとさがってゆく。

イラスト:板川な奴

真桜:泡食って叫びます。「きょ、巨大な戦艦がこっち向かってますっ! 大きな大砲がこっちを狙ってますっ! どっ、どうしましょう?」

ルーディ:そういわれてもなぁ。ポケットからコーンパイプを取り出して、葉っぱ詰めて、マッチを擦って火を着けるよ(一同笑)。

GM:ナニをいっとるんだきみは。[アンカー]あげるよ。(那須真桜同意。[経験点]+1)
 呼び水になった真桜ちゃんも[アンカー]ね。

凄皇(GM):「その船こそがおそらく世界であり、その世界の主が、戦舟の指揮を執っているのであろう」

ルーディ:煙をフーッと吐き出して「で、彼女が、『囚われのお姫さま』ってワケだ」

那須:「それを捕まえているオレらは、彼らに取ってみれば当然、悪役だろうからな。というわけで、囚われのお姫さまの孤独を、癒しに行くかね」

真桜:「ええ」

凄皇(GM):「海原を疾走ってな」

ルーディ:「なるべく速く接敵できるほうが、いいね」

那須:では、《アポート》で乗り物を出しますよ。懐からスッと名刺に模した符を取り出します。

ルーディ:ここに[ベクトルカード]があるので、[協力判定]をしましょう。恭一の出した符を取り上げ、裏面に万年筆で軍用車っぽいデザインを書きます。「こんなもんでどうだろね?」。ハマーとジープを足したような感じで。

那須:「了解。オフロード性能を重視して、な」

GM:ではサイコロを振ってください。サイコロの目が高いほうを採用してくださいね。

那須:[パワーレベル:Lv1]で、[達成値:23]。

ルーディ:同じく、[達成値:26]。

GM:では、[達成値:26]でオフロード用の車を出した。

21.全員/迎撃

GM:セイレーンの歌声が響き渡るなか、遠くから、船の接近とともに水兵たちの歌声が聞こえてくる。お互いを呼び合うように、それはだんだん大きくなる。その歌声を圧して、ついに主砲斉射の轟音が響き渡る。

真桜:よけながら近づかなきゃいけないんですか?

GM:いや。当然のように、日本の国旗が揚がっている船を狙うよ。一見無意味な射撃のように見えますが、《フェアリーアイズ》の判定をすることによって、この《タイラント》が『なにを意図しているのか』を知ることができます。

那須:じゃぁ振ります。(コロコロ)[達成値:24]。

GM:この砲弾に見えるモノは、《タイラント》が作り出した存在なのではないかと、解析できます。無論、その存在が《アクセス》を使うことによって、船に甚大な被害を及ぼすのではないか、と予想できます。で、このシーンのみの特殊ルールとして、GMは斉射のたびにサイコロを1つ振ります。君たちの乗っていた船に[サイコロの出目]発の“砲弾”が命中します。1ラウンドは基本的に5秒ですが、このシーンだけ、1斉射を1ラウンドとします。大体、1分間ですね。

那須:「ここでその砲弾を防がないと、オレらの帰る船がなくなるなぁ」

真桜:【強度】が足らないので、[経験点:3点]使って[一時的成長]させます。で、《アポート》を[パワーレベル:Lv1]で使って、上限の[武器威力/継続:+32]になりました。これで毎ラウンド[範囲攻撃]できますよね?

GM:そうだね命中弾が範囲に入る。ここは見せ場だね、なにかセリフを言えば[ベクトルカード]あげるよ。

ルーディ:「あんな曲射弾道を描いていたら、僕の能力では届かない!」

那須:呼び水だね。[アンカー]あげる。(GM・真桜同意。[経験点]+1)

イラスト:亜浪

真桜:冷静になって、「お二方、下がってください」とかいいながら、飛びクナイをいくつも持って前にでます。

ルーディ:「バカなっ! そんなモノで届くはずないじゃないかっ!」 ……いや、プレイヤーはできるって知ってるんだけどね? 呼び水ってことで。

那須:ではそれを受けて平然としてます。「頼めるかい?」

真桜:「お任せください」。クナイを手の中に握りこみ、振りかぶります。[パワーレベル:MAX]で! [ベクトルカード]でクリティカル値を下げます。

GM:こっちは[パワーレベル:Lv1]なのだから、[共鳴]がおこりようはずもないね。(コロコロ)[達成値:15]ね。

真桜:(コロコロ)全然回らないや。[達成値:17]です。差分値2点で、[武器威力]が+32なので、ダメージ34点です。

GM:じゃぁ、命中“砲弾”の[結界強度]は20点なので、全て一撃で砕け散ります。あからさまに外れる軌道を描いていた“砲弾”は、客船の前後に落ちて、《ホワイトアウト・プレーン》であるにもかかわらず、『水柱が上がる』。

ルーディ:顔にタテ線入りますね。「《カウント・ゼロ》っっ!」

真桜:うひゃー。

GM:《カウント・ゼロ》を持った自爆型の[トループ]です。撃破できてよかったね。

那須:口笛を吹いて、ルーディを見やります。皮肉っぽく「クノイチに不可能はないんだよ?」

ルーディ:「じゃぁ僕は、ここで『オー! 東洋の神秘ネ!』とか言わないといけないかな? まったく、ファランクス・システムよりも凄いじゃないか」

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