◆月刊GAMEJAPAN 2007年7月号掲載/『ファントムサウザント』第7回ストーリー


イラスト:藤原 貴紀くん
▲王女イアラが人魚ミラノに先導されて、《橋上都市》エルンを目指していたその頃、ずっと離れた場所から、その様子を見ている女性がいました。その場所は、どこまでも澄んだ湖の底に水晶と硝子で作られた教会。女性は魔法の幻影として写し出されたイアラに愛おしそうな視線を向けます。

イラスト:有賀ちなつさん
▲幻影は人魚に切り替わります。「あれは……ミレーヌ? 私のいない水都を守り続けてくれているのね」 女性は思いがけぬものを見たような表情をし、そして気持ちを切り替えるように瞑想に入りました。女性の名はユーネリア。3年前までは《橋上都市》を守護する巫女でした。

イラスト:ちゃくん
▲ユーネリアの思考は18年前に旅します。それは参列者のいない、一人きりの結婚式。本来巫女であるユーネリアは生涯未婚の身。その婚姻はあってはならないものでした。 「わたくしがこの衣装を着る日がくるとは・・・・・・」 巫女は嬉しさと悲しさの入り交じった目をして呟きました。

イラスト:TUKAMIくん
▲「ユーネリア様、魔法王ガザ様がお越しに……おや、その衣装は!?」 侍女であるメルダが驚いて尋ねます。「ふふっ。似合いますか?」「他の方に見られたら困りますっ」「悪戯です。着替えさせるために、来たのでしょう? 手伝ってください」 本当は決意の表れだったのですが、そう言って微笑みました。

イラスト:ポナパルドくん
▲《蒼碧の巫女》の正装に着替え、役目である星読みを行います。間違いであって欲しい。切なる願いも虚しく、凶兆を告げる星がありました。かつて創造主である《龍王》すら殺した天からの悪夢。魔王を頂点とする魔族を生み出した悪意の襲来を、星々は告げていたのです。

イラスト:ポナパルドくん
▲現れた魔法王ガザの全身には、高度魔術により刻まれた刻印がありました。「その刻印……《錆びし黄金》の魔王との契約を果たされたのですね」 ガザは頷き、巫女は「では、私も《水龍》の贄となりましょう。《日蝕》と《月蝕》の交わる時は来ていますから」

イラスト:大隅 達也くん
▲「これが我が子、運命の子か」 魔法王ガザのつぶやきに対し、鵙(もず)の騎士は頷きます。「許せ。そなたをも化物と為したことを」 王は騎士にそう言い「子の名はイアラとエリューシス。私にできる唯一の贈り物だ」と頭を下げました。


イラスト:延川 祐子さん
▲巫女の瞑想を破ったのは、かつてのドワーフ《凱旋王》バルグムントです。巫女は《湖底教会》を建造したドワーフ王に感謝し、独立を奪ったことを詫びます。「それも世界に対する責務。そなたも“魔の蓋”の役を最後まで果たそうとしておる。同じことだ」 王の返答に「母とはそういうものではないでしょうか。抱き上げてもあげられなかった大切な子たち」と巫女は応え、母の目で双子の王女を見ます。その思いに応えるべく、ドワーフ王は《王の戦斧》を打ち直した最強の銃を背負い直し、教会を後にしました。

◆月刊GAMEJAPAN 2007年8月号掲載/『ファントムサウザント』第8回ストーリー


イラスト:大隈 達矢くん
▲王女イアラが残した置き手紙を見て、魔法学校で級友だった少年・ハイン(右)が拳を打ち付けます。それに対し、同じく級友の少女リアム(左)が「助けに行きたいったって、どこにいるのかもわかんないよ」と諭すように言いました。そこに微笑みつつ現れたのは同じく級友の少年エミリオ(中央)でした。

イラスト:まぎやあざなさん
▲「イアラ姫の場所ならわかりますよ」 エミリオは悠然と魔導書に呪文を唱えます。
「エリューシス様には既にお伝えしましたが……すぐ行ってしまわれました」
 エミリオの魔導書からは、彼の使い魔である赤い妖精と人魚が現れます。
「イアラ様は《橋上都市》エルンだね?」
 人魚は「そう。ミラノさまもおられるわ」と答えます。エミリオは礼を言うと、奪ってきた馬を二人に差し出しました。

イラスト:TUKAMIくん
▲一方、王女イアラは水中に道を作り、エスフェランス軍に包囲された《橋上都市》エルンに向かいます。しかし水都は水面下も人魚たちが守っていました。イアラたちを見て身構える人魚たちに、同行していた人魚姫・ミラノが声をかけました。人魚を率いていたリーダー格のミレーヌが武器を引けと命じます。
「また迷子か、ミラノ」
「はい。でも、この方たちの用事もあるので、話を聞いてあげてください。アルトさまに用事があるのだとか」
「あるとなら、ここにいるよ〜」
 話を聞いて現れたのは、小さな妖精でした。

イラスト:ボナパルドくん
▲妖精アルトは、一行を不思議な部屋に案内します。天井は硝子張り。部屋中には世界中の風景や出来事が絵日記風に描かれています。そして、台座にはカラフルな卵が置かれていました。その殻にはまるで一つの星のように大陸や雲が描かれており、中には龍の赤ちゃんがいて、イアラたちに微笑みかけました。

イラスト:藤原貴紀くん
▲アルトはイアラに言います。
「お前、ユーネリアさまと同じ匂いがする」
「母……いえ、その方はここにおられるの?」
「《蒼碧湖》の底にある教会に移られた。水の力が強いから。あるとは幼い《水龍》さまの守り役。世界の創造主である《龍王》さまが世界の卵の殻の表面で起きたことから学ぶように、世界で見たことを伝えてる。お前もよければ伝えてほしい。大切なことを。幸せなことを。それで世界はきっとよくなるから」

イラスト:ボナパルドくん
▲イアラはアルトの願いを受け、《龍》の卵に渡された魔法の筆で美味しい食べ物や、生まれた家、大切な人たちを描いていきました。しかし、外では都市攻略を狙うエスフェランス公王バレリアスが自ら発掘した銀の魔王・《銀彗王》スパルリオに都市攻撃を命じていました。最強の『二天』の一つ・月を背負う魔王は余興で公王に支配された演技をしていましたが、イアラを見かけて呟きます。
「おや、このような処に《月触姫》とは」

イラスト:キタオカミツルくん
▲一方、イアラの母である巫女・ユーネリアが祈り続ける《湖底教会》。教会を守る《水龍》が長く吠えます。
ユーネリアは「わたくしの子に危機が迫っているようです。最後の契約の時がやってきましたね。転生を遅らせてまで、巫女の力を支えてくれてありがとう」と《水龍》に頭を下げました。
巫女の礼に《水龍》は「それには及ばぬ。その代償にそなたが支払った代価は命。だが、それすらも《水都》の娘たちに送ろうとしている。我は悲しい」と言いました。


イラスト:樹 風森さん
▲この世界が創造主である《龍王》の卵の表面であることを、イアラは魔法学校で学んでいました。だから、今後世界の一部を背負っていくであろう《水龍》の仔のために、心を込めて歌いました。それは、双子の姉エリューシスと一緒に暮らしていた時に、背中合わせで歌った《幸せのワルツ》。心打たれたアルトが、その光景を魔法の筆で絵にします。歌が終わった時、《人馬族》の運び屋テュルクが、気づいて手紙を差し出します。読んだアルトは顔色を変えます。「ぎんすいおうがくるの〜」。その言葉を受けるように、下弦の月を背負って魔王が現れました。

◆月刊GAMEJAPAN 2007年9月号掲載/『ファントムサウザント』第9回ストーリー


イラスト:MIEさん
▲水の精霊力の受け皿として建築された《橋上都市》エルン。エルンを手中に収めようとしたエスフェランス公国公王バレリアスは、長引く攻城戦の切り札として、『二天』の一つ『月』を背負う最強の魔王の一人・《銀彗王》スパルリオを召喚します。

イラスト:MIEさん
▲魔王スパルリオは《橋上都市》の中心にある《水龍》を祭る教会・《水の座》に降り立ちました。圧倒的な力で町を破壊しようとする銀の魔王を止めようと、王女イアラは《烈風の刃/バイオレントブレイド》の術を唱えますが、即座に打ち消されます。
「愚王の茶番に付き合ってみれば、《月触姫》と出会うとは愉快愉快。姫様、気は済みましたか?」
 魔王はイアラに語りかけ、そしてイアラのいる《水の座》の屋根を切り払いました。

イラスト:TUKAMIくん
▲イアラは壊された屋根の破片から、必死に《水龍》の卵と妖精アルトをかばいます。魔王は心底不思議そうにイアラに問いました。
「なんて美しく不自然な行い。見れば魔力もないご様子ですが、そこにいる誰が、貴女の命と等価な行いをしたのかしら。なぜ、魔王たる妾に立ち向かい、雑多な命を救おうと?」
「なぜ、って……」 イアラの思考は過去に旅します。
 それは2年前。イアラは、在学していた魔法学校中等部で、従兄弟の少年・ラウェスと再会し、交流を持ちました。

イラスト:大隅 達矢くん
▲身分の違う同級生・ハイン(左)らと分け隔てなく接し、町で働くイアラを見て、ラウェスが提案します。王女は町の人にはなれない。身分に相応しい扱いを受けられるよう、働きかけようか、と。イアラは断りました。
「働かなくて生きていけることが、一番いいと思わない」と。

イラスト:竜騎士くん
▲イアラは「わたしが何者になれても、今があるから未来のわたしがあると思うんだ」と言い、ラウェスを大バザール《故園演奏祭》に出す出店の手伝いに誘いました。そして教塔にこもる姉・エリューシスにもエプロンを押しつけ、連れ出します。


イラスト:伊勢屋三泗郎くん
▲イアラは町での仕事で習い覚えた、クレープの作り方を二人に教え、出店の練習をします。その練習にはイアラに誘われたハイン、リアム(窓の外の二人)たち同級生も参加しました。最初は戸惑うエリューシスやラウェスでしたが、練習を通じて次第にコミュニティの中に入っていきます。


イラスト:亜浪くん

▲待ちに待った《故園演奏祭》当日。諸国より商隊が到着します。魔獣が出し物のサーカスや楽器演奏会など「それぞれの故国を持ち寄る」お祭りの開始です。にぎやかに働くイアラたちを見て、同級生のエミリオ(中央左)や、母違いの姉王女・ヘルベチカ(左)も出店を手伝いました。
 隣に店を構えた異国の魔法商人・パパド(中央のターバン男)と助け合いつつ、イアラたちは働きました。

イラスト:藤原貴紀くん
▲大盛況のうちに、祭は終わりました。打ち上げの席で、パパドが異国料理を提供し、イ アラも残った材料でお礼に家庭料理を作りました。
 一同は食事をしながらお互いの国の話をし、いつの日かの再会を約して解散します。

イラスト:竜騎士くん
▲すべてが終わったあと、ラウェスはイアラに言います。
「これが……君の生きている『今日』なんだね。ありがとう誘ってくれて」
 照れるイアラにラウェスは続けます。
「君が、親方から出店を任されたのは、努力してつかみ取った『今日』なんだね」と。
 イアラは頷いて「大変なこともあるけど、でも『今日』がつかみ取れる所で生きるほうが、幸せだと思うんだ」と言いました。

イラスト:裕三さん
▲その言葉でラウェスの迷いが消えます。
「僕は今まで、勇者である父に憧れて、父になろうとしていた。でも今日、多くの人を直に見て、色々な人のあり方を実感できた。父が言う『平凡な日常を守る』って意味が少し、わかった」
 そこで一瞬の追憶は覚めます。イアラは魔王の問いに答えます。
「どんな命にも大切な日常がある。だから助けられる命なら助けたい」と。

掲載ストーリー第1回〜3回を見る

掲載ストーリー第4回〜6回を見る

掲載ストーリー第10〜12回を見る

掲載ストーリー第13〜15回を見る

募集要項を見る

読者設定資料を見る

エピソードリクエスト♯1を見る

エピソードリクエスト♯3を見る

エピソードリクエスト♯5を見る

エピソードリクエスト♯7を見る

「月刊はがき戦国」トップへ